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すでにインターネットを使っている方はおわかりだと思いますが、電話線を使ったインターネット接続の場合、アクセスしたサイトにあるデータを自分のコンピュータにダウンロードする、わかりやすく言い換えれば、アクセスしたホームページで発信されている情報を自分のコンピュータに表示させようとした場合、すごく時間がかかるのです。
特に画像などがたくさん使われているページでは、あまりの遅さに、いらいらさせられることが多いのが現状です。
このことがインターネットを使ったビジネスをうまく機能させていない、一つの理由となっていることも事実です。
ですから、この記事にあるように「早ければ早いほど良い」ということになるわけです。
もう一つ記事の中で強調されていることがあります。
それは、米国家庭においてインターネットが日常的に使われるようになっていることを示す、いくつかのデータです。
たとえば、九七年度には家庭におけるテレビ視聴時間が、テレビの登場以来初めて減少に転じたことが指摘されています。
コンピュータに向き合っている時間が長くなっているのですから、テレビを見る時間が減るのは当たり前です。
そしてもう一つあげられているデータは、電子メールによってやりとりされるメッセージの総数が、郵便のそれを上回ったことです。
いつでも、どこでも、メッセージを受け取ったり発信することのできる電子メールは、まさにコミュニケーションの概念を根底から変えてしまうほどのパワーを持つ大発明です。
いったん電子メールを使い始めた人が、郵便を出すことなど考えなくなるのも当然です。
このように今や米国家庭にとってインターネットは不可欠なものになっています。
現在求められているのは、データのダウンロードのスピードアップです。
そのためには、電話線よりももっともっと太いパイプを使えばいいのです。
そして(まだ不完全ではあるものの)それをすでに一般家庭にまで引き込んでいるのが、ケーブルテレビ会社なのです。
ちなみに米国家庭の六○%までがケーブルテレビの受信契約を行っています。
現在、米国には裕福でテクロノジー志向な家庭がだいたい一六○○万世帯あると考えられています。
こうした世帯の年収は最低七万ドル以上、世帯当たり二?三台のコンピュータを持っていることも珍しくはありません。
また複数の電話線を引き込んでおり、一つはオンライン専用に使われることも多いのです。
どのようなビジネスにとっても、もっとも顧客としたいのがこのような世帯です。
さて、T社を買収することでA社には、電話、ビデオ、そしてインターネットサービスを提供することのできる、ハイスピードなネットワークのシステムが転がり込みます。
同時にサンフランシスコ地域(つまり米国でもっとも先端的なシリコンバレー地域)に居住する、裕福でテクロノジー志向な一一一一○万のケーブル加入世帯をも、顧客として取り込むことができるのです。
といっても、A社は別にケーブルテレビ放送を始めようとしているわけではありません。
彼らは電話、ビデオ、インターネットをすべて一つにまとめて提供する「スーパーキャリア構想」を持っており、近未来のコミュニケーションニーズをすべて一手に掌握しようとしているのです。
スーパーキャリア構想に対する消費者サイドの反応はまだまだ未知数です。
けれどもテクノロジーのあまりにも急激な進化は、消費者の反応を待ってから行動するような余裕を、もはや企業に残してはおかないようです。
この場合、特にメインの原動力となっているのはデジタルテクノロジーの急激な拡大進化です。
デジタルテクノロジーによって、テキスト、サウンド、ビデオなどのすべての情報が1と0というビット単位に変換されて流布されるようになるからです。
つまりありとあらゆる情報が、0と1とのデジタルデータに置き換えられて、同じパイプの中を流れることが可能となるのです。
このパイプとなるためには、大量のデータが、発信されてから受信されるまで、滞りなく流れることのできる太さを持つことが求められます。
既存の電話線はそのためには細すぎます。
現在のインターネットは基幹の部分は太いパイプであっても、家庭にデータが届けられる段階で電話線を使っているので、特にデータサイズの大きくなる画像データのダウンロードに時間がかかってしまうわけです。
しかし、電話線は双方向のコミュニケーションが可能であるところにメリットがあります。
現在、米国に引かれているケーブルテレビのシステムは非常に太いパイプではありますが、古いタイプなのでワンウェイでしか信号を通しません。
双方向のやりとりを可能にするためには、アップグレード化を必要とします。
A社にとって、T社の敷設しているケーブルすべてのアップグレード化に必要とされる費用は九○億ドル、必要となる時間は五年間と推測されています。
それでもA社では、ゼロの段階から全米にケーブルを施設するだけの時間はもう残されていない、というように判断したからこそ、今回の買収を進めたのです。
A社ほどの企業がそのくらいの危機感を持っているということに注目すべきです。
ビジネスに不可欠なデジタルという概念A社の「スーパーキャリア構想」において重要となるのはデジタルという概念です。
デジタル概念の理解はeビジネスを考える上で非常に重要なのですが、本書ではできる限りテクノロジーよりの話は避けたいと思いますので、ここではきわめて文化系的に、情報がデジタル化されることの意味やメリットを考えたいと思います。
誤解を恐れずに、思い切って単純化して言い切ってしまうと、こうなります。
たとえば、アナログの状態で記録されているデータは使い回しが不可能です。
それに対して、デジタル化されているものは、いろいろに形を変えて(いわゆるマルチメディアですね)使い回すことが可能です。
具体的に、小売店のレジを例にとって説明します。
レジがロールペーパーに記録するだけのもの(アナログのレジ)であった時代には、たしかに売上の記録は残りますが、売れた商品を分類したり、消費税だけを抜き出して合計することには大変な労力を要します。
ところがレジにPOSが付くようになって、POSによってデジタル化されたデータがコンピュータに記録されるようになると、そのデータはコンピュータによって様々に加工されて使えるようになります。
何が、いつ、どれだけ売れて、現在の在庫量はどれくらいなのか、といった情報が瞬時にわかるのです。
これがデジタルのパワーです。
このパワーを効率よく活用しているのがコンビニエンスストアです。
日本のコンビニチェーンでは、このPOSデータにさらに店員が顧客データ(性別、年代層)を入力しています。
すると、ある店には毎週火曜日夕方に、一○代の顧客がたくさんやってきて、カツ井弁当を買っていく、というような情報が蓄積されていきます。
それを予測できるようになった店側では、火曜日の夕方にいつもよりも多いカツ井弁当と一○代向けの雑誌を店に置いておけるので、品切れがなくなり売上が増加します。
さて、今度はA社のスーパーキャリア構想が実現された際に、消費者の生活がどのようなものになるのか、デジタルな未来生活を描いてみたいと思います。
Tさんはフルタイムの仕事を持つ母親です。
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